いい人なのは傷つかないため
シルバーのリングを買った。
完全オリジナルでデザインしてくれる、ジュエリー作家の友人に作ってもらった。
ふっと見ると指で小さくてもキラキラ光るリングを見ると、うれしいなと気持ちが明るくなる。
でも、蛍光灯の灯りの下で、しばらくキラキラをみつめていたら、少し悲しい気持ちになった。
「いったい私は何のために生きているんだろうなぁ」
よく私は思っていたなぁ。そういうことを思いだしたのだ。
いつも何かと闘っていて、いつも何かやらなくちゃって焦っている。
そして、自分が選ぶものはすべて仮のもの。
仮の部屋に住んで、仮の食器でとりあえず作ったご飯を食べ、
とりあえず買った服を着て、
とりあえず仕事に行って、目の前に山積みのことを片付けて、
とりあえず揃えた家具に囲まれた部屋に帰ってくる。
そして、「いつか、こうしよう」と願い続ける。
何かに追い立てられていて、
いつも時間がなくて、
いつもとりあえずで生きている。
こんな感じだったなぁ。
田中美津さんという鍼灸師さんがいる。
私の人生が変わるきっかけになった本が、田中美津さんの「いのちのイメージトレーニング」という本。
その中にこんな話が出てくる。
住む処はチャンとある。大好きな息子+猫一匹の家庭もある。いい仕事と友だちをもってそれなりに楽しくおだやかに暮らしている。「悪くない生活」だと自分でも思っていた。にも関わらず、居場所がなかった。
だから、家具なんて間に合わせでいいと、心の深いところで思っていたのよ。大事にしたい家具なんて持ったら、置く場所がないことに気がついて、一層つらくなるだけだから。
求めなければ傷つかない…という生き方を、自分はズーッとズーッとしてきたんだ。「いのちのイメージトレーニング」p.25
自分の本当の気持ちに気づいたら、
理想の生活になっていないのがわかる。
それと直面するのがいやだから、「とりあえず」の世界で生きる。
これは本当の私じゃないから、仕方ないよね。そんなところで折り合いをつける。
傷つくのが怖いから。
だけれど、本当はもう傷ついていて、適切な手当てが必要な状態。
それを「つらくない」って言っているんだから、それは相当無理していることだ。
理想の生活とのギャップなんて、ごくごく当然のことなのに。それで自分を判断するなんて、本当はばかげていること。
赤い血をダラダラ流しているのに、手当もしないで大丈夫って言っているって怖くない?
身体の傷ならばちゃんと手当をするのに、心の傷はわからない。
だから、笑顔でコーティングして、いい人演じて、毎日とりあえずの生活をしている。
これは相当しんどい生き方のように思う。
ってか、私はこんな状態で毎日一生懸命生きていた私をむしろ尊敬します。
こんなことにエネルギーを使っているのだから、本当に好きなことをする意欲はなくなっちゃう。
シルバーのリングは、それまでの私だったら買わなかったと思う。
洋服は生きていくのに必要だけど、アクセサリーはなくても生きていける。
そんな理由。
でも、ふと自分が欲しいってものを持ってもいいんじゃないかと思った。
それもそれなりの値段がしても、自分がほしいものを。
「リングに入れるメッセージは何にする?」
友人にそう聞かれたとき、何も思い浮かばなかった。
とりあえずは言えるんだけれど、自分の理想を言うのは怖い。
あっ、まだそんな風に思うんだな、私。
いったん保留にして、何がいいかなって考えた時にひとつのメッセージが思い浮かんだ。
You and me, completely close, forever.
この言葉も私の人生のターニングポイントで出会った。
英語なのはロンドンで聞いたからなんだけれど。
「あなたと私は、ずーっとずーっと一緒だよ」
特定の関係を言っているわけではなく、
「あなたと私は、ずーっとずーっと一緒だよ」っていうことで、どんな気持ちがするのか感じるために使っているフレーズなんです。
リングに彫ってもらったこのメッセージを見ると、本当にいろんな感情が湧いてくる。
いい人してた自分にも、「もういいよ。やめても。」そう言える。
そして、
「理想の自分になってみればいいじゃん」そんなことも言える。
今はできなくても、そういう自分になる道を選べばいいじゃん。
たとえ叶わなくても、とりあえずでいい人やってるよりはずっといいよ。
流れる血を止めながら、「痛いよ」って叫ぶんだよ。
それが、本当の自分を取り戻すために必要なこと。
相変わらず、とりあえずの世界にいることもあるんだけれど、確実にそこから抜けつつある自分も感じる。
だって、とりあえずにいたことに気づいたんだからね。
リングをつけて過ごす時間で、
どんなことが起こるかな。
そんなことを考える私は、きっと穏やかで優しい表情をしていると思う。
おまけ
田中美津さんの本は、こんな感じ。
身体からとメンタル。両方からどう養生するかアプローチしていて、私が好きな本です。
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この記事の投稿者
白藤沙織
Web・印刷の株式会社正文舎取締役。 Webプロデューサー 兼 ライター。ときどきセミナー講師。 コーチやカウンセラーの資格を持ち、仕事に活かしています。 ダンス・歌・演劇好き。4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛しています。
営業をどのようにしたらよいかわからないときに、Webサイトとブログ、SNSに出会う。以来、情報発信を丁寧にして未来のお客様と出会ったり、お客様のフォローをしています。
仕事もプライベートも「自分の生きたい人生を生きる」ために、「自信や勇気」を届けられたらうれしいです。