「はい」に込められる意味はいろいろ
仕事をしていると、「はい」という言葉にはいろんな意味が込められていることを感じる。
学校では「はいと元気に返事をしましょう」と教育されるせいか、すぐに「はい」と言ってくれることが多いし、それを半分こちらも期待していることがある。でもね、ときどき、簡単に「はい」と言わない方が人間関係はスムーズになるんじゃない?そう感じることもある。今日は「はい」という返事について考えてみたい。
「はい」に込められる意味
名前を呼ばれて、「はい」って答えるのは、ここにいますよっていう合図なのであんまり問題にならない。
もっと複雑なやり取りのあとの「はい」は、要注意だと私は思っている。それはどんな時かというと、たとえば会社の方針を伝えたり、プロジェクトリーダーとしてコンセプトを伝えたり、指示をしている時である。私に求められる結果は、相手に話した内容を理解してもらい、動いてもらうことである。話をしたあとの「はい」を正しく感じ取らないと、目的が達成できないと気づいた。だから、最近は「はい」という相手の声のトーン、表情、しぐさなどをよく観察するようにしている。
私はだいたい3つのパターンに分かれるのではないかと思う。
指示されたことを理解して「はい」と答えている場合は、目が合うことも多いし、表情は比較的明るい。その人にとってマイナスのことを指摘された場合は、かなり悲しい顔をするときもあるが、それは話の内容が内容なので当たり前の表情だ。それでも、あぁ何か伝わったなという雰囲気が伝わってくる。理解した人は行動するから、ああ伝わっているなとわかる。完璧ではなくても、指示したことをやろうとしているし、仕事の方法などは改善されていく。
人に言われたことに対して自動的に「はい」という場合は、あまり物事を深く考えていない。目上の人が何か言っているから「はい」と答えているような感じだ。内容を理解しているとか、言った内容を覚えているとか、そんなレベルではない。自動思考なのだ。だから、その場の行動は変わるけれど、習慣にならない。つまり、改善はされないのだ。しかし、相手は「はい」と答えているから、上司は理解したと思いこんでいる。だから、往々にして「言っただろう」と怒ってしまうケースが多い。このパターンでは、素直に「はい」と素直に答える場合もあるから、理解したかどうかはその後観察しなければわからない。
もうひとつのパターンは、その場をうまく収めたくて「はい」と答えているパターン。このパターンの場合は、指示されたことを納得していないか、指示されたこと自体がおもしろくないと思っているようだ。もしくは、指示している人と信頼関係がない。この場合は、あまり目が合わないし、返事にも力がない。何よりも、納得していないから行動もしない。話を終わらせたいから「はい」と答えているのだから。
この3つのパターンは、人によって違うのではなく、状況によって違うのではないかと思う。
私自身も、どのパターンも思い当たるから。信頼関係があり、話されている内容に納得しているときは、理解しましたという気持ちがのって「はい」と言う。今はそれほどでもないけれど、若い頃は目上の人に言われたことに対しては、反射的に「はい」と言っていた。「はい」と言うけれど、理解してないので同じ失敗をしていたことがある。何だか理解できないぁと思っていても、話し合いをするのもめんどうなときは、とりあえず「はい」と言っておくということもある。状況によって使い分けをしているのだ。
なので、何かを伝えて行動してもらうときは、相手が「はい」と答えていることに満足してはいけないのだ。どのパターンもあり得るから。
自分の行動を変えるしか状況は改善しない
さて、「はい」に3パターンあるとして、理解するパターンだけが正しいのだろうか。
会社で役職についている人にとっては、部下になる人は素直に指示を理解して「はい」と言ってくれる人がいいと思うのはもちろんだ。
でも、自分の伝え方が悪くて、違うパターンの「はい」を引き起こしていることもあり得る。たとえば、つじつまの合わないことを指示していたとしたら、相手は納得しないだろう。そして、それを違うと言えない雰囲気を自分が醸し出していて、相手は「はい」と言わざるを得ない場合もあるのだ。怖い人に反論するって、相当勇気のいることだからね。
つまり、相手が理解してくれて行動できるか、「はい」と答えているだけなのかは、自分のコミュニケーションの結果なのである。つまり、自分の責任。相手が自動的に「はい」と答えるパターンが強いならば、その対策を練る必要があるのだ。なぜなら、自分が相手に行動してほしいのであって、相手は自分から行動する理由がないからである。
そう考えると、相手にイラッとすることはあっても、キレることは少なくなると思う。「なんでわかんないんだ」と怒るのはムダなことで、理解されていないと思ったら、次の手を考えればいい。
というのは理想で、私などまだまだ「なんでわかんないんだ」とか思っちゃいますがね。
「はい」は理解した「はい」だけではないって覚えておくだけでも、精神的には相当ラクなのは間違いないと思う。
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白藤沙織
Web・印刷の株式会社正文舎取締役。 Webプロデューサー 兼 ライター。ときどきセミナー講師。 コーチやカウンセラーの資格を持ち、仕事に活かしています。 ダンス・歌・演劇好き。4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛しています。
営業をどのようにしたらよいかわからないときに、Webサイトとブログ、SNSに出会う。以来、情報発信を丁寧にして未来のお客様と出会ったり、お客様のフォローをしています。
仕事もプライベートも「自分の生きたい人生を生きる」ために、「自信や勇気」を届けられたらうれしいです。