会場にいる人全員に嫌な奴と思われたら成功と思った ~ エクスマ新春セミナー 演劇を経験して

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1月16日(水)東京、1月22日(火)大阪、2回のエクスマ新春セミナーが終わりました。私は昨年に続き、演者として参加することができ、本当に貴重な体験をしました。

エクスマ新春セミナーは、藤村先生の講演とか書きたいことがたくさんあるのですが、今日は自分が演じたことを書いてみたいと思います。

満席になった会場のフラミンゴ・ジ・アルージャ

イメージができないと演じられない

感想は、「昨年よりもずっと難しかった」です。昨年は初めての経験で、何もかも新しかったし、気づいていないことも多かったということもあります。難しいと感じた大きな要因は、私が演じた役「服部」のキャラクターにあります。

登場人物は10人。上から2段目、左から3番目が私

昨年は、革命家の男に拾われてついていく不思議な女、今年は、天才技術者です。どちらかというと、不思議ちゃんとか、セーラームーンみたいな漫画的なアイドルとかそんな役の方が得意かも。去年の不思議ちゃん役は、すっと自分の中に入ってきていました。

が、今回の役は天才技術者。数字・仕様・AIの特徴をひたらす話す人。AIに関する技術力は、たぶん日本でも5本の指に入り、有力な商品を開発して企業に利益をもたらす人。ほかの役と違って、自分のことを感情を出しながら話すシーンはありません。台本を読んですぐに決めたことは、「笑顔は見せない」ってことです。

台本の中には「ぶーっ」とぶーたれたり、40円にこだわって上司とやりとりしたり、コミカルなところもあるのですが、基本はクールな人です。

私はソフトウェアの開発現場で働いていたから、服部みたいな仕事をしている人たちをよく知っています。技術者に求められることは、チームでプログラムを分担するけれど、自分の分担は責任をもってひとりでこなすこと。開発中は人と話をしないし、ただひたすらコードを書く。何か不備があったときはコードを追い続けて、単純が入力ミスがないか、論理に間違いがないか探します。そんな仕事には、冷静で根気が必要。問題を発見して解決する力がないと製品はできません。

笑顔を消すということは、まぁ意識すればできたのですが、もっと難関がありまして。。。

それは私の立ち振る舞いが、どうしても小動物みたいな愛嬌がでてしまうのですよ。演技のアドバイスをしてくれた瀬口さん(ハート)に何度指摘されたことか。

「その手の位置は、アイドルみたいだ」
「その身体の使い方は、かわいらしくなっちゃう」
「もっと傲慢に」

セーラームーンとか、アンパンマンとかなら、もうすぐにできそうですが、クールな技術者は難しい。。。

そんなにイメージが違うのかと、自分が演技している動画をこっそり見たら。。。
なるほど。りすとかねずみとかげっ歯類みたいな動きをしていました。気を抜いてるとこは目も笑ってるし(^▽^;)

「さおりんの中にイメージがないから演じられないの。こういう人っていうイメージをすることが大事なのよ」

という瀬口さんのアドバイスで、私の中で服部とイメージが重なるような女優さんを探してみました。で、みつけましたよ。理想的な人を。それは中国系アメリカ人のルーシー・リューさん。クールビューティーで、テレビシリーズ『アリーmyラブ』ではあんまり笑っていなかったな。

女優のルーシー・リュー。チャーリーズエンジェルにも出演。理想とするアジアン・クールビューティの方(映画.comより)

映画.com https://eiga.com/person/78724/

ルーシー・リューで行こうと決めたのは、1月になってから。もう本番直前って感じです。

ハートにはそのほか、メイクとかでもお世話になりました。ありがとうございます。

セリフの神様は本質をつかみなさいと言った

もうひとつ難しかったのはセリフ。

未来学者レイ・カーツワイルなど口が回らない単語が出てきたり、新旧のAIの違いを囲碁のAIで例えて説明するなど技術的な話をすることも多かったのもひとつ。それと、この服部、長セリフはないのですが、AIを納品するときは妙にぶーたれるのに、社長にAIの説明をするときは難しいことを言ったり、上司武田とランチ代をめぐっておまぬけな論争したすぐあとに徳川取締役から呼びつけられたり、技術者としての本音を独白した直後にガラシャに探りを入れたりと、舞台上で話す相手が変わる切り替えがあったのです。
セリフ言い切った、退場して一息って感じではなく、セリフ言い切った、あーまだ次のセリフある~って感じだったので、本番で続けてできるのか不安もありました。

ほっとするとも言われた「ロースカツ定食」シーン

こんなちょっととぼけたシーンから、会社の闇の話をシーンに急展開。

取締役に呼び出されたシーン

で、AIの説明部分は覚えたつもりでも、演技をあわせてするとグタグタ。藤村先生から、「一言一句再現するのではなく、意味を変えなければ表現が違ってもよい」と言われましたが、、、
「それができたらもうしているよ」とか生意気にも心の中では思っていましたの(あはっ)

グダグダを脱出できたのは、藤村先生から練習のあとに何気なく「さおりん、以前のAIはどんなのだった?」とか、「新しいAIはどう変わった?」と聞かれたことかな。それでこう変わったと答えていたら、そうかって突然セリフの神様が私の中に降りてきたんです。「セリフを追いかけることも大事だけど、話の本質をつかむんだよ」って。「さおりん、服部はどんな気持ちで話していると思う?」って聞かれたような感じがしたのです。

まぁ、藤村先生が聞いたら「だから、前からそう言ってんだろ」って思うでしょうが、、、本人が気づかない限りは、何を言われても届かないものでして、、、手のかかる生徒でごめんなさい。

でですね、セリフの神様が降りてきたら、おもしろいようにセリフが覚えられるようになったの。アウトプットすると噛んじゃったりするんですが、服部はAI利休を誇りに思っているんだとか、AIに関して社長や取締役にわかってもらおうと説明しているんだとか思っているので、なんとか話ができるようになったんです。
そんなことを思っていたら、服部は直属の上司の武田は本音では好きではないだろうなって気持ちになりました。天才科学者後藤博士の愛弟子で同じく天才技術者の服部が、自分に恋するようにプログラムを細工する上司の下で働いているんですよ。しかも、そのプログラムは自分が尊敬する後藤博士のプログラムなんですよ。許せないじゃないですか。

そう思ったら、意地悪な気持ちがわいてきて、もともと藤村先生が書いたセリフをアレンジしてしまったんです。

武田部長に言われた通りにプログラムするわけはありません。巧妙に隠されていたコードを見つけたの。武田部長に好意を寄せるようなコードをね。私、それを書き換えた。利休は誰にも好意を寄せることはない。

服部の本音を言いたい。

武田部長に言われた通りにプログラムするわけはありません。実力が違いすぎる。私はすぐに見つけたわ。巧妙に隠しているつもりのコードね。武田部長に好意を寄せるようにできていた。私、それを書き換えたの。利休は誰にも好意を寄せることはない。

巧妙に隠されていたというのは、服部がみつけた時の視点。それを巧妙に隠しているつもりと言うと、武田のことを見下しているような感じがでるのではないかって思ったの。それにさらに実力が違いすぎるって入れたら、もう鼻もちならない感じ。でも、上司より力があって、上司が利休を自分だけのものにしようとするのを見つけたら、お前何考えてんだよって思うんじゃないかな。

そして最後のセリフを言うときには、「こいつ、いやな奴だなぁ」っていう感じが見ている人に広がるといいなぁと思ったの。ここです。

利休は私のプログラムどおりに動いている。武田は恋に狂って、仕事が手につかない。次の部長の座は私のものかしら。徳川も自滅。今度は誰を動かそうかしら? 社長かな?黒田かしら? ふふふふ・・・

このシーン、黒子役としてサポートしてくれた鵜沼さん(ヴィーノ)が初めて聞いたとき、「やなやつだなー」とつぶやいたので、「よし」って自信になりました。

で、高笑いして終わっていたのですが、自宅で練習しているとき「この会社、どうなるか楽しみね」というセリフが出てきたの。それで、ゲネプロのときに言ってみたら藤村先生が「いいね」と言ってくれたので、そのまま本番でも採用。

SNS上では、こんな表情あんまりしませんね。

服部の役が難しかったのは、おちゃらけて笑うことで逃げてきた私の心の弱さも影響しているかな。無意識で悪いことと思っていることを、舞台の上でするんですからね。でも、私の中にそういう部分もあるから、自然とセリフとして出てきたんだな。こういう自分の中を知るって大事ですね。

あっ、思い返せば、私わりと好き勝手にやってますね。

服部は私の心のスペースを広げてくれた

うれしかったのは、一緒に大阪に行ってくれた下田千明(ちあき)が、翌日にこんな感想を直接私に言ってくれたこと。

観ながら思ったのは、淡々とした演技やセリフ回しで観客に伝えることって、すごく難しいんじゃないか、ということ。

舞台の役者さんが、泣き崩れたり、怒り狂っていると、観ている側も心が動いて引き込まれる。

でも、いろいろと感じたり考えたりしていることを表には出さず、冷静にしていながら、
観客にわからせる、感じ取らせるって、いろんな繊細なことの積み重ねをしているんだろうな、と。

東京公演のときも、山下小百合さん(サユリーニ)が似たようなことを言ってくれて、届いた人がいるんだってうれしくなったのです。しあわせ♡

エクスマ新春セミナーの翌日に行った、ハワイアンカフェ・アロハスで。
私の隣にいるのがちあき、そのとなりが武田役の太田さん(めぐっちょ)、そして森田店長

今回の演劇で、自分の役の服部のことをあれこれ考えていたら、自分の価値観とは違う人の気持ちを考えるっていうスペースができたみたいなんです。目の前で話している人やSNSで発信しているる人が、どんな気もちでこの言葉を使っているんだろうって、ふっと思うようになったんです。

まだまだ、その価値観を受け入れて大きく包み込むってことは実践できていませんが、少しでも近づけたらいいなって思っているのです。

服部門(はっとりもん)になれたことは、すごく貴重な体験でした。

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 この記事の投稿者

白藤沙織

Web・印刷の株式会社正文舎取締役。 Webプロデューサー 兼 ライター。ときどきセミナー講師。 コーチやカウンセラーの資格を持ち、仕事に活かしています。 ダンス・歌・演劇好き。4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛しています。

営業をどのようにしたらよいかわからないときに、Webサイトとブログ、SNSに出会う。以来、情報発信を丁寧にして未来のお客様と出会ったり、お客様のフォローをしています。

仕事もプライベートも「自分の生きたい人生を生きる」ために、「自信や勇気」を届けられたらうれしいです。

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