一番のファンは自分である ~ センベイブラザーズのキセキより
Web活用のコンサルティングをしている私は、インターネットで情報収集したり、本や雑誌を読むことも仕事です。いろんな会社さんの事例を自分の中にストックしておくことで、アイディアが湧いてくるのです。
2018年に読んだ本のイチオシは「センベイブラザーズのキセキ」(大和書房)。倒産寸前だった煎餅工場を立て直した、ふたりの兄弟の物語で、小さな会社のマーケティングの参考になると思います。
この本はどちらかというとマーケティングの技術というよりも、心意気がいいなと思っています。「せんべいをおいしくかっこよく」というキャッチフレーズのもと、煎餅離れのピンチを覆して、おしゃれでかっこいいせんべい作りに取り組んでいく過程での「マインド」が参考になるんです。
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↑センベイブラザーズのInstagram お煎餅のパッケージがかっこいいですね。
自分たちの感覚にうそはつかない
センベイブラザーズは、東京都江戸川区にある煎餅工場、笠原製菓の4代目兄弟が展開している小売りのブランドです。
町工場が倒産の危機になったときに、卸売りではオリジナルのせんべいが作れないと試行錯誤のうえ、オリジナルブランドを立ち上げました。
オリジナルのせんべいを作るときにも、トレンドや競合他社のことを気にせず、自分たちが本当に欲しいものを作ってきたというところが参考になります。とかく、売れるものはなにか、他社は何をしているのか、売れるテクニックはないのかと、自分たちや自分たちの商品を見るのではなく、外側にあるものばっかり見がちです。すぐに売れるものは何かとばかり考えすぎては、会社の核はできていかないのだなぁと思いました。
中途半端なことをしていては、成功も失敗もぼやけてしまうから次につながらない。何事も次のアクションにつながるようにチャレンジし続けた。
第2章 挑戦 兄弟ブランドでの再出発 p.55
新しいことに取り組む大事な姿勢ですね。
そして、SNSを販促活動に使い、自分たちに正直にすべてを見せて発信してきたそうです。こういう覚悟があるから、ビジネスも軌道に乗っていくのではないか。私はそう思うんですね。覚悟!
大事なのはコンセプト
「センベイブラザーズのキセキ」を読んでいて思うのは、何のためにこれをするのかというコンセプトが大事だということ。
そのコンセプトもしっくりこなかったら何度も変えて、今の形を作ってきたそうです。
年々煎餅の消費が減っている。その現実を踏まえ作った最初のコンセプトは、
「うまく、かっこよく、煎餅を日本の銘菓に」でした。
それで売り場で販売していると、少し違和感を感じた。煎餅を食べてほしいお客さんに「日本」は関係なのではと。
そうして次に作ったのは、
「うまく、かっこよく、煎餅をあなたの銘菓に」
でも、それでも違和感があり、「銘菓」って何なんだろうと考えたそうです。銘菓って普通に使っていない言葉だし、自分たちの作る煎餅は銘菓ではないと。
そうして試行錯誤して出てきた言葉、
「せんべいをおいしく、かっこよく」
これがやりたいことだったとしっくりきたそうです。
このお話の大事な点は、コンセプトを作るテクニックではなく、コンセプトを作ったらそれに基づいて活動して、しっくりくるまで何度でも変えていいという点だと思うんです。
そして、コンセプトがしっかりできたら、行動がブレない。
ここがしっかりできていると、電話の営業で「こうしたら売れますよ」と言われたら、売れるならとそのまま試してしまうとか、セミナーにたくさん出ていろんなツール、いろんな施策を学ぶけれども、実践がなかなかできないとかそういうことが少なくなると思うのですよ。
好かれるか、嫌われるかの二択でせんべいの味を追求し、自分たちにしっくりくるコンセプトは何かと売りながら試行錯誤しする。これが中途半端ではない取り組みなのだなと思いました。
「センベイブラザーズの一番のファンは自分たちである」という笠原さん兄弟の姿勢があったからこそ、経営の危機を脱出して今のようにブレイクしている。そう思います。
この行動の根っこの部分をしっかりとさせ、その上に行動を積み重ねていこう。そして、そんな提案をお客様にしていこうと思っている新年なのです。
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この記事の投稿者
白藤沙織
Web・印刷の株式会社正文舎取締役。 Webプロデューサー 兼 ライター。ときどきセミナー講師。 コーチやカウンセラーの資格を持ち、仕事に活かしています。 ダンス・歌・演劇好き。4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛しています。
営業をどのようにしたらよいかわからないときに、Webサイトとブログ、SNSに出会う。以来、情報発信を丁寧にして未来のお客様と出会ったり、お客様のフォローをしています。
仕事もプライベートも「自分の生きたい人生を生きる」ために、「自信や勇気」を届けられたらうれしいです。