わたし、定時で帰ります ~ 経営者にお勧めしたい本
Webディレクター?
定時に帰る?
4月16日からTBSで始まる「わたし、定時で帰ります」というドラマの主人公が、Webディレクターと知って興味を持ちました。
まず、Webディレクターが、テレビドラマで扱われるるような職業として認められたのかというのが新鮮でした。Webディレクターの認知度も上がるかしら。
Webディレクターで、定時退社を守り続けるって、どんな話なのかな。
正直なお話、私はありえないと思っていました。働き方改革のこの時代にこんな発言をすると眉をひそめられるのかもしれませんが、、、比較的スケジュールに余裕があるときは別として、ずっと定時退社を続けることは想像できませんでした。
軽いテレビドラマの世界だよねと思っていましたが、、、
調べてみると、新潮社から「わたし、定時で帰ります」という原作本があることがわかり、さっそく読んでみることにしました。
若い女性の恋愛を絡めた軽い話かと思いましたが、どんでもない!
どんなにみんなが仕事をしていようと、定時に帰る女性のWebディレクター「東結衣」が、ありえない予算で上司が受注した案件を担当するようになり、残業続きのスタッフを守るために最後は自分の身体を張って仕事をするお話です。
炎上しかかっている案件を、3万人が命を落とし太平洋戦争で最も無謀と言われたインパール作戦と重ねられて描写されています。
- 企業戦士だった自分の父親
- 精神論でなんとかしろという無謀な上司
- 風邪をひいてもどんなに具合が悪くても出社する社員
- 案件が炎上すればするほどアドレナリンが出まくって仕事を続け、いつも問題解決する社員
- 仕事の効率が非常に悪く足をひっぱる社員
- 出産直後なのに子どもよりも仕事を優先するワーキングマザー
- のんびりしている若手社員。
いろんなタイプの社員がいて、上司の無謀な指示で、スタッフはみんな残業や休日出勤をさぜるを得なくなり、それでも結衣はみんなのために何とかしようと、社長に談判したり、スタッフを早く帰すためにがんばります。そしてついに「あちら側」を見るまで働き続けます。
「真に恐ろしいのは敵にあらず。無能な上司なり。」という言葉も出てくるこのお話。日本企業の課題が見えてくる。
会社経営者は自分の会社をどうしたいのか、改めて考えるきっかけになる本だと思います。
だってね、定時に帰る結衣を批判し、残業したがる社員が多くなってきたこの会社。経営する社長は、「長時間労働が当たり前だった時代、社員が働きやすい会社を作るという途方もない夢を追い求め」、完全有休消化を奨励し、残業を厳しく管理する制度も導入したのです。でも、なぜか社員は長時間労働にむかっています。隠れてまで残業しています。なぜそうなってしまうのか。
そういう問いかけもある本なのです。
どんな風に働くのか
長時間労働になぜなるのか。
長時間労働の何が問題なのか。
根本的なことを見ないで、ただ残業時間の短縮・有休消化を訴えても何も変わらない気がします。
なかなか納品できない案件でみんなの疲労がピークに達したとき、結衣はこんなことを決意して、自ら休日出勤と残業を続けます。
会社のために自分があるんじゃない、自分のために会社があるんです。
もう誰も死なせない。そのためには誰も独りにしない。どんな小さな不安も吐き出させ、抱え込ませない。
私は「誰も独りにしない」という言葉が響きました。
一般社員も、管理職も、経営者も、同じ社内にいても「独り」と感じてしまうと、会社全体にゆがみが出てしまい、問題が発生していきます。
また、「独り」と感じて自分で問題を解決しなければとがんばると、問題解決まで時間がかかりすぎるし、こじれてしまいがちです。
私の部署でも大きな問題があったとき、私は担当者のほかにも主任と同じ仕事をしているスタッフ3人でどうしたらよいのか考えるように言いました。それは困っているならばひとりで頑張らない方がずっと問題解決がはやいからです。人を頼る方がいい。担当者は「みんなを巻き込んでしまう」と不安のようでした。が、巻き込まれたみんなは、問題解決のために関われるのです。脳天気にいうと、みんながいい人になるためのチャンスを与えているのですね。こういう考え方がみんなでできるようになると、たった一人で問題を抱えなくていいのではないか。私はそう思います。
まずはみんなが関係を作ること。
そして、いろんな話をしてお互いのことを知ること。
経営者も含め、ひとりひとりが「孤独にならない」ためにはどうしらたよいのか。ここから取り組むのがよいと思います。単純に「残業を減らせ」「休日出勤禁止」と言い続けたとしても、メンタル面で何かが変わらないと行動は変わらないですからね。
どんな風に働くのか。
どんな会社にしたいのか。
誰が何と言おうと、作りたい会社をイメージして社内で共有していって、みんなと関係を作りながら、自分たちなりの働き方改革をしていきたいと私は思います。
「有休を年間5日取らせなければならない」
「残業時間をおさえなければならない」
こんなねばならないの発想だと、結局社長からしてやらされ感満載になってしまうからです。それは長時間労働を強要されていることと、そんなに働き方の本質は変わらないのではないかと思います。自由じゃないよね。
自分から何が必要なのか考えていこうよ。
「わたし、定時に帰ります」はそんなことを改めて考えるきっかけとなった本でした。
Amazonの紹介はこちら↓
コメント
この記事の投稿者
白藤沙織
Web・印刷の株式会社正文舎取締役。 Webプロデューサー 兼 ライター。ときどきセミナー講師。 コーチやカウンセラーの資格を持ち、仕事に活かしています。 ダンス・歌・演劇好き。4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛しています。
営業をどのようにしたらよいかわからないときに、Webサイトとブログ、SNSに出会う。以来、情報発信を丁寧にして未来のお客様と出会ったり、お客様のフォローをしています。
仕事もプライベートも「自分の生きたい人生を生きる」ために、「自信や勇気」を届けられたらうれしいです。