アートは見えない自分の心を自然に表現すること | 劇団藤村組Zoom演劇「わが町のZoom秘密会議」で学んだこと

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劇団藤村組のZoom演劇「わが町のZoom秘密会議」の公演が終わりました。
9月7日と8日の2公演で、私は新任の町長役として出演させていただきました。

2日間あわせて160名の方に観ていただいたと聞いています。ありがとうございます。

2日間の公演が終わったあとの記念写真。
みなさん、ほがらかでいい笑顔ですね。

予定していたリアルの公演ができないとわかったのが6月頃。それから、本格的な練習が始まりました。

自分の役が難しいと感じたり、離れているメンバーとネットを介して練習するもどかしさ、そばにいて練習していたら何でもないことが解決できないなど、いろんな課題がありました。
それでも、「公演が終わったとき、私は最高の笑顔で満足しているんだ」とイメージをし続けて練習できたこと、そして本番のハプニングも劇団のメンバー全員で乗り越えられたことに、今とても大満足しています。

評価はいろいろあるかと思います。
が、まずは私の持ってる力を全部出せて、それでやり切ったという満足感でいっぱいです。演者のみなさん、陰で支えてくれたスタッフのみなさん、演出家の藤村先生、見てくださったみなさん、本当にありがとうございました。
そして、何よりも「さおりん、絶対に劇を観るからね」って応援してくれたお友達に感謝しています。
今日は本番までに感じていたことをまとめてみたいと思います。

お友だちが送ってくれた私の登場シーンの写真です。

町長への想い

私が演じた町長は、とある町の町長に当選して初めて町のある会議に参加します。そして、そこで町の重要な秘密を知らさせれるのです。この会議のメンバーは正直、この町長が迷惑な存在なんです。自分たちの秘密が知られるから。そして、会議が進んでいくうちに、とんでもないことが事実がわかるというストーリー。

私、最初にこの台本を見たときに、なんとなく心がざわっとしました。
そして、本読みのときは町長をやったりしてましたが、上演が決まったときは違う役になったのです。そのとき、やっぱりなぁと思いました。私がイメージして演じた町長と、脚本を書いた藤村先生のイメージがあっていないと感じられたから。

ですが、合宿があった7月。役が発表になったとき、私は町長になっていました。

私、今回の町長の役みたいな立場が多くて、それで心がざわついたのです。
私が町長をするならば、リーダーの責任感と、メンバーにバカにされたくないという思いがあって、「感情を見せない」と思ったんです。だから、極力感情を抑えたクールな感じだったんです。
が、これは私自身の勝手な思い。芝居を作っていくことと違います。

藤村先生からは、

「本当に落ち着いている人は、落ち着いているって口にしない。もっとあわてた感じを出してみて」

という指摘を受けました。

過去に経験してきたことが足をひっぱって、第三者的にこの劇の内容を掴んでいなかったと思います。

そして、迷走 (◎_◎;)

妙に強気になってしまったり、最初から怒っていたり、練習の録画したものをみると自分で何か違うなぁと感じていました。

ほかのメンバーは、自分で解釈してどんどん表現してるのに、焦る自分がいました。

K-POPと落語が救ってくれた

表現するって何なんだろうなぁと考えていた時、ちょうどNiziUというガールズグループのオーディション番組をよく見ていました。
韓国の歌手でプロデューサーのJ.Y.Park(パクジニョン)が始めたプロジェクトで、歌手を目指す女の子たちがアイドルとして合格するまでのお話です。

オーディションの中で、J.Y.Parkは

  • アートは見えない自分の心の中を表現する。
  • みんな特別な存在なので、ありのまま自然な自分でいるだけでいい
  • 学校の勉強ではない。自分らしさをみせる。
  • ダンスや歌はその中にある感情を伝える。

というアドバイスを練習生たちにしています。

その言葉が私にもよくあてはまります。
うまくやろうとか、上手にやってやろうと考えなくてもいい。
お芝居は役を通して、自分を表現すること。

では、町長を通して、私は何を伝えたいのかしら?

セリフを紙に書いて、この人は何でこういうことを言っているのだろうと考えてみたりもしてみました。

そして、セリフを覚ようとするのですが、
いかんせん、時間が足りない(^▽^;)
仕事をして家に帰ってセリフを覚えようとしていて、台本を抱えて寝ていることもありました。

そんなときに、

落語家の林家とんでん平師匠に、弟子入り体験をしたことがすごくプラスになりました。お芝居に関係なく、私は落語が好きで、自分でやってみたいという軽い気持ちで申し込んでいたかですがね。
弟子入りでは「みそ豆」という落語を15分で覚えて、ひとりずつみんなに披露しました。

林家とんでん平師匠は、「間違っても何でもいいから、自分のみそ豆をやってみて」と私たちに話してくれました。

私は最初、落語を書いた台本を離せず、ほかの方の発表のときにもずっと台本を見ていました。が、なんだか違うような気がしました。

間違うのが怖い、完璧にしたいという気持ちに捕らわれて台本にかじりつくんじゃなくて、ほかの人のパフォーマンスをしっかりみようと思ったんです。
そして、しっかりと落語を聞きながら、ざっくりと話の流れをつかんでいきました。
そして、間違うことを気にするんじゃなく、表現することを楽しもう、自分に集中しようと思って、自分の番に演じてみたら、すごくおもしろかったんです。

ひとりで演じる落語と、チームで演じるお芝居ではちょっと違いますが、表現する基本は一緒かなと思いました。
ここでもキーワードは「自分らしく」

あぁ、こうやってZoom劇も台本を手放して、話の流れでやってみるって気持ちになればいいんだと気づきました。

それから、劇の最中、次に何を言うのかに気を取られず、相手のセリフを聞けるようになりました。

前提を揃えたら理解し合えた

今回は2チームで、同じ台本でお芝居をしました。2チームあるので、比較があることは最初からわかっていましたし、おもしろく競争させるような人も現れます。

もうひとつのチーム。
総練習の時も、かつらをかぶっていて、それだけでも圧倒されていました。

が、わかっていても、緊張しますね。

全体練習で別のチームを見たとき、テンポもよくて楽しそうで、私のチームは圧倒されてしまったようです。自分たちの劇もがおもしろくなるようになんとかしなければという意見も飛び出しました。
こういうとき、リアルに練習していたら、そこから話し合いになりますよね。が、今回はそれができず、Facebookメッセンジャーでのやり取りです。文字のコミュニケーションでは理解しあえているのかわからないし、みんな忙しくて返信できない人もいます。

全体練習後、私たちのチームだけの練習で藤村先生に観てみらったときも、「テンポよく」と言われました。
その「テンポよく」が具体的になっておらず、またZoomはそれぞれの環境でタイムラグがあるらしく、テンポがいいのか悪いのかそれぞれ思いはバラバラだったと思います。

本番近くの練習。藤村先生に「テンポよく」とコメントをもらったとき。

どうしたら、共通の想いを持てるかな。。。
どうしたら、具体的になるのかな。。。

そのときに思い出したのが、2年前の演劇で藤村先生から受けたテンポを上げる練習です。シーンを短く区切って、できるだけはやく何度もセリフを言うと、普通に自然とテンポもよくなっているんです。そして、セリフ自体が速くなるので、お芝居全体でテンポがあがります。この提案に賛成してくれる人が多く、試してみることで改善したと思います。

そして、できるときにできる人が練習時間を作って、少しでもよくなるようにと協力し合えたのがとてもよかったと思っています。

私が気を付けたのは、自分が言える範囲ではやくすることです。そして、「秘密」と「危険」という単語はきっちり伝わりように、ここだけはスピードを落としても、伝わるように言おうと思って練習してました。伝わっていたらいいなぁ。

ハプニングを乗り越えるのは練習したという自信かも

Zoom劇では、台本をパソコンに表示していたら、完璧に覚えていなくてもなんとかなります。が、視線が台本に移るとそれがわかってしまうんです。私はパソコンに台本を表示してみるのが苦手で、迷った末にセリフを暗記することにしました。

練習中は、セリフが完璧に覚えきらず、セリフを忘れたり、間違ったりして、みんなに迷惑をかけて申し訳ないなとも思いました。

個人的には練習では間違った方がいいと考えるタイプです。そのたびに絶対良くなると確信できるから。これはソフトウェアの開発や原稿を執筆しているからかもしれません。何度も操作や原稿を読んで、ミスをひとつずつ直して製品として完成させるからですね。
でも、チームになると間違えるのが怖いと思いました。それでも迷惑をかけるからといつまでも台本を見ていたら、本番ではもっと迷惑をかけてしまいます。「練習時間は間違いを発見して修正するところ」と、割り切りも自分でできました。

そして、不思議と台本を見なくなったときから、町長が自分の口から話しているような感じがしました。私の中にいる町長が育ってきたようで、オヤジキャラの議長に「クソジジイ」とつぶやく町長が出来上がりました。

本番に入る直前まで、私はセリフが飛んでしまわないかちょっと心配で、「大丈夫、大丈夫」と自分に言い聞かせてました。

本番前のテスト風景。
Zoomにログインできて、順調だと思ったのになぁ。

が、いざ初演の本番になったら、今度はアクシデントでこのままではお芝居に登場できないとわかりました。パニック(@_@)

それで急遽、私は別の部屋に移動して、別のパソコンで演じることになったんです。

このとき、セリフを全部覚えていてよかったなと思いました。パソコンを変えても、そのときは何も怖くなかったから。私はできると思っていました。

あとで、藤村先生から「役者は芝居が始まったら、演技を止めちゃいけない」と聞いて、また演技の奥の深さを知ったのです。そのときは、話の筋から脱線せず、かつずっと自分の役でアドリブしていくからですね。

個人的に一番気に入っている写真です。
してやったりという顔の副町長と、絶望している町長の対比が好きなの。

こうして、初めてのZoom演劇は終わりました。

リアルでは体験できない、オンライン特有の問題にあたったことで、さらに対応力は深まったと感じています。
これを実生活にも取り入れたいし、自分の表現力の幅を広げていきたいと思っています。ありがとうございました。

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 この記事の投稿者

白藤沙織

Web・印刷の株式会社正文舎取締役。 Webプロデューサー 兼 ライター。ときどきセミナー講師。 コーチやカウンセラーの資格を持ち、仕事に活かしています。 ダンス・歌・演劇好き。4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛しています。

営業をどのようにしたらよいかわからないときに、Webサイトとブログ、SNSに出会う。以来、情報発信を丁寧にして未来のお客様と出会ったり、お客様のフォローをしています。

仕事もプライベートも「自分の生きたい人生を生きる」ために、「自信や勇気」を届けられたらうれしいです。

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