伝えているつもりでも、なぜか周囲に伝わらないときは使う言葉を見直そう
自分はちゃんと伝えたのに、その通りにスタッフが動いていない。そして、それを聞いていたと思っていたスタッフには「聞いていない」「知らなかった」と言われる。
なんか伝わらない。うまくいかない。
こんな経験、ありませんか?
私はどうしてこんなこと起きちゃうんだろうってことが多々あり、結構ストレスでした。以前はね。それが「観念の階層」を習ってから、うまくいかないときに対処できるようになりましたし、ラクになってきましたよ。
こんにちは。さおりんです。
札幌は花がまさに花の季節!
桜、梅、チューリップ、つつじ、ムスクリ、たんぽぽ、水仙、こぶしと楽しめます。
北海道の春は大好きな季節です。
人によって扱う情報のサイズが違う
さて、指示をしたはずの仕事が、ちゃんと進んでいないとき、あなたはどうしていますか?
言ったはずだと作業した人を責めても、あるいは言い方が悪いんでしょうと指示した人を責めても、なーんにも解決しません。だんだん人間関係が悪くなっていく一方かも。
「言ってるだろう」といくら怒っても、それは相手に伝わっていないんです。
人間のコミュニケーションパターンはいろいろあって、その人のやりやすい方法で話したり聞いたりしているんです。その方法に正しいとか間違いはないけれど、特徴を知っていればその人に合わせて対応できるから伝わりやすくなるんですよ。
「観念の階層」っていう考え方があって、上手にできているかどうかは別として、私はこれを知ってコミュニケーションがラクになりました。
観念の階層とは
普段、何気なく当たり前のように会話をしているのですが、考えたり言葉にしているときは、ひとそれぞれ扱っている情報の大きさが違います。
こんな経験をしたことがありませんか?
- 営業会議で「予算達成のために、がんばりましょう」という話をされたが、何をしていいのか具体的な行動は何ひとつわからなかった。
- どんな提案なのか全体像を知りたいのに、ひとつひとつの手順を細かく説明されて、イライラしてしまった。
どうしてこんなことが起こるかというと、人には「物事を細かく見ている人」と「大まかに全体像を見る人」がいるからです。
情報のかたまりのことを「チャンク」といいます。全体像に焦点をあてると情報のかたまりは大きくなり、詳細に焦点をあてると情報のかたまりは小さくなります。同じことを話していても、チャンクの違いで印象が変わってしまうのです。
チャンクの大きさの違いをカンタンに説明しますと、たとえば「車」を考えてみましょう。「ハンドル」「ブレーキ」「ワイパー」と車の部品ひとひとつを見たり、「タクシー」「トラック」「自家用車」と車の種類を見るとチャンクは小さくなります。逆に「乗り物」と考えると「飛行機」や「船」などと同類になりチャンクは大きくなります。
車をテーマに話をしても、ハンドルやブレーキを見て話をしている人と、乗り物を見て話をしている人では、なかなか話がかみ合わないし、何の話をしているのかピンとこないということもあります。
ですので、話の内容が細かすぎて全体像が見えない、チャンクを大きくしてみると見えてきます。
逆に話が大雑把すぎて共通認識を持てないときは、チャンクを小さくして具体化していくとわかりやすくなりますよ。
大きくすることを「チャンクアップ」、小さくすることを「チャンクダウン」といいます。
観念の階層を使って問題が解決したよ
私が統括している部署では、こんなことがありました。
ソフトウェアのプログラマたちは、お問合せフォームの設置はWebのHTMLを書く人たち(HTMLコーダーたち)でもできるだろうと言い、HTMLコーダーたちはお問合せフォームで何かあったら自分たちでは解決できないから、プログラマにやってほしいという意見でした。
プログマたちは、いろいろなプログラムを知っているのでお問合せフォームくらいならば、少しミスしたとしてもHTMLコーダーでもできると考えていました。ところがHTMLコーダーたちはお問合せフォームのトラブルが解決できないかもしれないから、自分たちはしない方がよいと考えていました。
いずれにしても、「お問合せフォーム」という仕事の一部だけにフォーカスし、さらにミスにフォーカスして「できる」「できない」で何となく不満が残っていました。
それで、「お問合せフォームは何のために設置するのか」と「お問合せフォームはなくてもいいのか」とチャンクアップした質問をみんなにしました。
チャンクアップして両者の考えが一致すれば、解決の糸口が見つかるだろうと思いました。
このときの話し合いでは、プログラマもHTMLコーダーもお客さまやユーザーのことを思うと、お問合せフォームは必要だし、お問合せフォームがないホームページを納品することにも反対のようでした。
チャンクアップすると意見は一致するのです。
「みんなお問合せフォームは必要と思っているならば、今の条件でどうすればいいでしょうね」と言葉がけをしてみたら、HTMLコーダーが自分がやってみるから、こうなったときには助けてほしいとプログラマに話をしていました。プログラマ側も、スムーズに仕事が進むように設置マニュアルを書いてくれることになりました。
チャンクが小さいときはなかなか意見が一致しなかった問題か、チャンクアップすることでお互いに歩み寄ることができたと思います。
このように作業現場では、チャンクアップしてみるとお互いが同じ想いでいることに気づいて、問題が解決しやすくなると思います。
意識的にチャンクダウンの質問をする
逆に、経営者や幹部たちの言葉は、チャンクダウンしないと具体的に何をしていいのかわからず、社員にはなかなかその真意が伝わらないということがあります。
たとえば、社長から「うちの会社は顧客第一主義ですから」とか言われたとします。
社員は「はい。顧客第一主義ですね」とか言うかもしれません。顧客第一主義という言葉の意味は、お客さんを優先するとか、大事にするということだということがわかるからです。
でも、これでお互いが理解したとは言えません。どんなことをするのが顧客第一主義なのか、具体的な行動を両者で理解し合っている必要があるんです。
仮に社長は、長く使えるよい商品を提供することが顧客第一主義で、それには値引きはありえないと思っているけれど、幹部はお客さまの希望をまずは叶えることが顧客第一主義と思っていて値引きもしているとしましょう。そうすると、「なぜ、値引きばっかりしているんだー」と社長は怒り、「顧客第一主義と言ったじゃないですか」と幹部は反論するということも起こりえます。
こういう問題を避けるには、社長が「顧客第一主義」とかチャンクの大きな話をしたあとに、そのためにはこういうことをしますとチャンクダウンして具体化すると話は通じやすくなります。理念を語り、方向性を示すにはチャンクの大きな言葉を使わなければ、人の心は動きません。
でも、それだけでは行動できないと私は思います。チャンクダウンして、その方向性にどうやって向かうのか決めていく必要があるんですね。
最初の「言っただろう」「聞いていない」という話も、チャンクサイズが一致していないので、行動することを共有していなかったということだと思います。
仕事を指示する立場の人は、自分のチャンクは大きくないだろうかと意識して、大きな意図を伝えるだけでなく、具体的な行動を指示していくとよいと思います。あるいは具体的な行動を幹部に考えてもらい、自分の考えと同じかどうかチェックしてみるとよいかなと思います。
指示を受ける人は、話されている内容で行動できるかチェックして、イメージできないなとわかったら具体的には何をするのか質問するといいかもしれません。
ただ、部下はなかなか上司に質問できないこともありますよね。
だから、まずは上司の方が、観念の階層を理解していると、社内のコミュニケーションがスムーズになると私は思います。
※チャンクには、水平方向に移動する「チャンクラテラル」もあります。
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この記事の投稿者
白藤沙織
Web・印刷の株式会社正文舎取締役。 Webプロデューサー 兼 ライター。ときどきセミナー講師。 コーチやカウンセラーの資格を持ち、仕事に活かしています。 ダンス・歌・演劇好き。4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛しています。
営業をどのようにしたらよいかわからないときに、Webサイトとブログ、SNSに出会う。以来、情報発信を丁寧にして未来のお客様と出会ったり、お客様のフォローをしています。
仕事もプライベートも「自分の生きたい人生を生きる」ために、「自信や勇気」を届けられたらうれしいです。