知ることから始まる ~ 福島県南相馬市のお話

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「道庁赤レンガの建物を見て、
開拓者がゼロから作ったんだと思ったら、
感じるものがありました。

何でもなかったら、ただの建物に見えたと思います。

でも、いま何もかも失った経験をしたら、
ゼロから作ってきたものに感じるんです。」

福島県南相馬市で北洋舎クリーニングという会社を経営されている
高橋美加子社長の講演はこんなお話から始まりました。

道庁赤レンガの建物の話をされる高橋社長
道庁赤レンガの建物の話をされる高橋社長

2011年3月11日に起こった東日本大震災を経験し、
地震、津波、原発、風評被害の四重苦の中で、
懸命に復興に取り組んできた、その経験をお話いただきました。

正直、今まで私は東日本大震災について、
心の底では避けていたように思います。

津波や原発の映像を見た。
2011年の夏に仙台に行って、
まだがれきが残る街をみた。
福島の人たちを支援する、
山形の友人をサポートした。

私なりに活動をしてみたりしましが、
どこか心が閉ざしていたように思います。

今回、同友会の女性経営者部会で、
高橋社長が原発が爆発したあとに起こった出来事、
会社復興のための取り組み、
地域の人たちとしてきたことを知り、
心が少し開いたように思います。

それは、
いつもの同友会でお会いして、
ごくごく普通に名刺交換をしている
目の前の方が体験されたこととして聞いたから、
すごく現実味があったのだと思います。

高橋社長のお父様が樺太(ロシアのサハリン)出身だということで、
私はすごく身近な方と感じたからかもしれません。

私の父も樺太出身で、第二次世界大戦後に日本に引き揚げてきたからです。

知らなかった事実

高橋社長の会社がある南相馬市は、福島第一原発から30キロ圏内。
原発からの放射能汚染が問題になった地域です。

私はまったく知りませんでしたが、
福島から避難してきた人は、
スクリーニングを受けなければならず、
汚染物扱いされたとこともあると聞きました。

スクリーニングで汚染されているとわかったら、
服もその場で脱がされたといいます。
人間の尊厳も失われるような扱いもあったと。

そんな混乱の中でも、
人間は生きていかなければならないから、
仕事も再開する必要があります。

次は国の制度との戦いがあったといいます。
福島の復興のためには会社を再開する必要がありますが、
国の保証制度は十分ではなく、
いち経営者では従業員を雇用しきれなく、
ハローワークも解雇を勧めていたと。

解雇された人は、もう二度とその地に戻ってきません。
それが、5年たった現在も人手不足の原因になっているそうです。

南相馬の現実と、 高田社長の想いが詰まった資料です。
南相馬の現実と、
高田社長の想いが詰まった資料です。

第三者としては、
放射能汚染の危険のある福島に、
なぜ住み続けているのだろうと思ったことがあります。
それは残酷な疑問かもしれません。

会社を立て直し、
同友会の仲間と一緒に地域を立て直してきた
高橋社長のお話を聞き、
ごくごく普通に話をさせていただいた中で、

「自分の街で、ごく普通に仕事をして家族といて、生きたいからではないか」
と感じたのです。

私が北海道にいて、北海道に住みたいと愛着があるように、
住んでいる街に愛着があるのは当たり前のこと。

「放射能」というレッテルがあると、
こんな簡単なことも気づかなくなるんだなぁと思いました。

同友会のつながり

高橋社長は同友会に入っていて、仲間と一緒に地域を盛り立ててきました。

勉強して日頃考えている人は、震災後のような状況でも
自分から動いている。

でも、あまりものを考えて居ない人は、愚痴や不平ばかり言っている。
そんなお話が印象的でした。

同友会には三つの目的があります。下記の三つです。

  • よい会社を作ろう
  • よい経営者になろう
  • よい経営環境を目指す

高橋社長のお話には、

この目的の話と、経営指針の考え方があるからこそ、
ブレない行動ができたと。

そして、当たり前と思っていた経営環境も、
実は自分たちが作っていかないということに気づいたそうです。

高橋社長の講演では、
私がパワーポイントや動画の切り替えなどを担当させていただきました。

講演中は話す内容がすべて書き起こされていて、
その原稿とパワーポイントの資料を見比べていたので、
高橋社長のお話はひとつも聞き逃すことがなかったという、
お得な経験をしたように思います。

当事者の方の体験談を聞く。
そして、何の感情も交えずに受け取る。

事実を正しく知るには、このふたつがとても大事だと思います。

そして知った事実は、きちんとほかの人に伝えていく必要があります。

これが震災を風化させないということではないかと思うんです。

私は今まで3.11の震災について、
何かを書くとか、積極的に話すとかそういうことはしたくないと思っていました。

今回、こうしてブログを書いているのは、高橋社長との出会いが大きいです。
同友会で普通にお会いして、普通にお話させていただいて、
父親の出身地で盛り上がる。
私の日常の中にすっと入ってきてくださり、
実はこんな体験をしたんですよとお話いただいたので、
普通の私が普通に受け取ったのではないかと思います。

北洋舎クリーニング 高田美加子社長(中央)、 八重崎聖子女性経営者部会会長と、 懇親会で記念撮影!
北洋舎クリーニング 高橋美加子社長(中央)、
八重崎聖子女性経営者部会会長と、
懇親会で記念撮影!

高橋社長の笑顔が素敵ですね。
どうしても高橋社長をお呼びしたいと熱心に話をしてくれた八重崎会長の想いも伝わりました。

今回の講演では、パワーポイントと動画の切り替えや、音量調節を担当していました!
パワーポイントのスライド集と、講演の原稿をじーっとみて、
操作をしていたので、すべての話を聞き洩らさずにいましたよ~

パソコン操作係りで緊張している私
パソコン操作係りで緊張している私

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 この記事の投稿者

白藤沙織

Web・印刷の株式会社正文舎取締役。 Webプロデューサー 兼 ライター。ときどきセミナー講師。 コーチやカウンセラーの資格を持ち、仕事に活かしています。 ダンス・歌・演劇好き。4コマ漫画のサザエさんをこよなく愛しています。

営業をどのようにしたらよいかわからないときに、Webサイトとブログ、SNSに出会う。以来、情報発信を丁寧にして未来のお客様と出会ったり、お客様のフォローをしています。

仕事もプライベートも「自分の生きたい人生を生きる」ために、「自信や勇気」を届けられたらうれしいです。

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